あるギフト会社による ≪女性が選ぶクリスマスプレゼント≫ランキ
ングというのがあって、1位は手編みのセーターやマフラーなのだという。お金より愛、ということなのだろうか。
何でもお手軽なこの時代のこと、「へえ」と微笑ましくなる。
 
 ほんとかどうか知らないが、≪恋人からもらった 正直うれしくないプレゼント≫ランキングというのもあって、その1位がこれまた、手編みのセーターやマフラーとなっていた。愛の重さが、負担になるから、ということらしい。「へえ?」って感じである。
 
 いずれをとっても、「編む」という行為の中には、市販のニットものでは得られない“何か”があるということなのだろう。
 
 そう言えば、近頃にわかに、手編みがブームらしい。ニットカフェとかニットアウトという、おしゃべりを楽しみながら編み物をするイベントが各地で開かれ、意外や男性の参加者も多いのだという。毛糸と編み棒というシンプルさだけでもって、人それぞれの時間を、思いを、夢を編みこんでいく。ときにはほぐし、また編み直す。またほぐす、編む、ほぐす、編む・・・・。
 
なんだか、編み物って人生に似ている気がする。
 
 20年前に編まれたマフラーには、20年前に編んだ人の思いが詰まっていて、その糸をほどいていくと、20年前の時間が次々よみがえってくる。そんなことはありはしないだろうか。
 
 
 劇団ラッキー・キャッツ2年ぶりの新作は、安房直子の傑作『青い糸』をベースに、主を失った一本のマフラーに編みこまれた、絶望と希望を描きます。